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2024.07.01

実績など

公益財団法人ソフトピアジャパンの「デジタル化」推進計画(vol.4)


 

vol.4:クラウドPBXで変わるビジネスコミュニケーション ~財団の未来を見据えたクラウドPBX導入~

 

皆さんこんにちは、公益財団法人ソフトピアジャパンの広報担当です。
第4弾となる今回は、公益財団法人ソフトピアジャパン(以下 財団)の「デジタル化」のデジタルオフィスの取り組みの一つとして「クラウドPBX」の導入についてご紹介していきます。


これまでの財団デジタル化

 

前回の記事では、昨年度(R5年度)のデジタル化プロジェクト取り組みのまとめ記事をご紹介しました

過去の記事は以下のリンクからご確認いただけます。

◆vol.1:デジタル化への第一歩 ~財団の業務分析と企業DBプロトタイプ試作調査~
◆vol.2:デジタル化の舞台裏 ~職員が語る財団の変革~
◆vol.3:企業データベース導入の課題と対策 ~課題編~
◆R5まとめ:「デジタル化」推進計画 ~ 令和5年度のまとめ ~

今回の記事では、クラウドPBXを導入する際に直面した、様々な課題やそれを解決するために担当職員が経験した課題解決の難しさなど、導入から運用開始とその後の裏側を覗いてみましょう。

 


1.背景 ~財団がクラウドPBXを導入する理由~

 

■クラウドPBX導入の背景
 従来のアナログな業務プロセスや通信手段だけでは、現代のビジネス環境において求められる柔軟性や効率性を十分に発揮することが難しくなっています。特に、コミュニケーションの手段が多様化し、BCPやリモートワークにも柔軟に対応できるようになったことで、迅速な情報共有の必要性がますます高まっています。

クラウドPBXとは…

クラウドPBXとは、PBX(Private Branch Exchange)の電話交換機(主装置)をクラウド上に設置し、インターネット回線を使用して外線・内線・転送などのビジネスフォン機能を利用するサービス。アナログPBXと異なり、初期費用やコスト工事の手間がかからずスムーズに導入が可能です。またインターネット回線を使用するため、スマホ等の端末によっては、オフィスだけでなく外出先でもビジネスフォンとして利用が可能。

 

■財団の現状と課題
財団内の通信環境の見直しにより、以下の課題が明らかになりました。

・固定電話依存の課題
固定電話だけでは、取引先からの電話がすべて社内でしか受けられない。社外では電話を受けられず、緊急時には私用のスマートフォンを使用している。

 

・システムの老朽化
既存のPBXシステムが導入から10年を経過しており、故障や障害が発生した際の交換部品の調達ができないなど、システムの安定運用に支障が出るリスクが高まっていました。

 

これらの課題を解決するためにオンプレミスのPBXからクラウドPBXへの移行を検討することになりました。

 

2.クラウドPBX導入前後の変化を分析

 

従来のオンプレミスPBXからクラウドPBXへの移行を進めるにあたり、現在のPBX構成の整理および課題の抽出を行いました。さらに、クラウドPBX導入後の新しい構成についても整理し、その変化を詳細に分析しました。

 

導入前の課題

従来のオンプレミスPBXシステムは、以下のような課題を抱えていました。

1.電話機器構成
・財団事務所がある建物内への連絡や、研修施設への通話は、内線を用いて行われていました。

2.機器の老朽化
・現在使用しているPBXは、部品の提供が既に終了しており、故障時の修理が不可能な状態でした。
・機器の故障リスクが高まり、運用の信頼性が低下していました。

3.事務所外での電話の取次ぎ
・出張時やテレワーク時には、事務所の電話を受けたりかけたりすることができず、必ず事務所に電話を受ける人員を配置する必要がありました。
・出張中の職員に連絡を取るには、個人携帯に外線通話をかける必要があり、連絡手段が不便でした。

 

導入後の改善点など

クラウドPBX導入後、通信システムには以下のような改善が見られます。

1.外線通話の活用
・同じ建物内への連絡は、センタービルのPBXと財団クラウドPBXの連携仕様により内線電話が利用できなくなりましたが、外線通話を利用することで解決しました。

2.物理PBXの撤去
・PBX機能をインターネット上のクラウドから利用するため、事務所内への物理的なPBXの設置が不要になりました。これによりメンテナンスや機器更新の負担が軽減されました。

3.事務所外での電話の取次ぎ
・事務所内にはクラウドPBXに対応した従来型の電話機の設置に加えて、スマートフォンも職員に配布。スマートフォンやPCでも専用のアプリを入れることで、内線電話機として利用できるようになり、テレワークへの対応が可能になりました。
・出張やリモートワーク中でも、場所を問わず事務所の電話を受けたりかけたりできるようになり、業務の効率性が向上しました。

 

3.クラウドPBX導入後の効果と課題

クラウドPBX導入後の効果と導入後に分かった課題など、導入担当者が気づいた点(メリット・デメリット・導入時の注意事項)などお伝えいたします。

 

①クラウドPBXのメリット

・スマホのアプリから発着信が可能
クラウドPBXはスマートフォン、PC、タブレットなど多様な端末で利用できます。職員のスマートフォンにアプリをインストールすることで、固定電話番号を使っての発着信が可能です。スマホの電話番号とは別に使えるため、個人用とビジネス用の番号を分けて管理できます。

・柔軟性とスケーラビリティ
事業の拡大や縮小に応じてシステムを簡単に増減できるため、需要の変化に素早く対応できます。リモートワークやモバイルワークにも対応しており、多様な働き方を支援します。新しい機能の追加も容易で、ビジネスニーズに応じて迅速に対応可能です。

・最新技術の利用
自動アップデートにより、常に最新の機能やセキュリティ対策が適用され、安心して利用できます。AIや音声認識技術を活用することで、業務効率を向上させる新しいツールを導入できます。

 

②クラウドPBXのデメリット

・品質がインターネット環境に左右される
クラウドPBXはインターネットを通じて利用するため、インターネット環境に依存します。安定した接続環境では高品質の通話が可能ですが、地下鉄や高層階、トンネル内など、通常の電話でも品質が落ちる場所では通話品質も低下します。

・コストの長期化
サブスクリプションモデルのため、長期的なコストが発生します。コストパフォーマンスを最適化するためには、必要な機能とオプションを見極め、無駄なコストを削減する必要があります。定期的に利用状況をレビューし、不要な機能やサービスを見直してコストを削減することが重要です。

 

③クラウドPBX導入時の注意事項

・既存の電話番号の引き継ぎ
クラウドPBXはベンダーごとに利用できる電話番号が異なるため、既存の電話番号を引き継ぐには、①NTT東西の加入電話やISDNで取得した番号であること、②番号ポータビリティに対応しているベンダーであることが条件となります。事前にベンダーに確認を取りましょう。

・必要な機能の選別
クラウドPBXはコスト削減や業務効率化が大きなメリットですが、ベンダーによって料金体系が異なります。オンプレミス型の方がコストが安くなる場合もあります。導入時には、現場で必要な機能や解決したい課題に対応しているかを検討し、長期的なコストをシミュレーションすることが重要です。

 

まとめ

 

今回はクラウドPBX導入についてお話しました。
クラウドPBX導入は、限られた予算とリソースの中で、オンプレミスの電話システムからクラウドへの移行という難しいプロセスを経ました。費用対効果について整理し、初期設定や導入後の運用説明など大変なこともありました。しかし、各ステップを乗り越え、最終的に運用開始にこぎつけました。



これからもより効率的で持続可能な運営を目指し、デジタル化の推進に取り組んでいきます。