2024.03.26
実績など
公益財団法人ソフトピアジャパンの「デジタル化」推進計画 ~ 令和5年度のまとめ ~
まとめ:財団デジタル化令和5年度の取り組み
皆さんこんにちは、公益財団法人ソフトピアジャパンの広報担当です。
今回は、今年度に公益財団法人ソフトピアジャパンがデジタル化に向けてどのような取り組みを行ってきたのか、また、同じようなプロジェクトに携わる方などにも参考となる情報をお伝えいたします。過去の記事は以下のリンクからご確認いただけます。
◆vol.1:デジタル化への第一歩 ~財団の業務分析と企業DBプロトタイプ試作調査~
◆vol.2:デジタル化の舞台裏 ~職員が語る財団の変革~
◆vol.3:企業データベース導入の課題と対策 ~課題編~
【デジタル化推進の背景】
岐阜県出資の公益財団法人ソフトピアジャパン(以下 財団)は、職員数は30名(令和6年3月現在)、年間約2億8千万円の事業費を擁し、岐阜県の政策に沿って運営しています。令和5年度から岐阜県のDX推進計画の一環として、財団のデジタル化を進めています。財団は4年計画でデジタル化を推進し、他の支援団体のモデル事例となることを目指しています。
※背景について詳しくはWeb記事第1弾の【背景 ~デジタル化推進のきっかけ~】をご確認ください。
【財団デジタル化あるべき姿】
現在、財団が進めているデジタル化の取り組みは以下の3つに焦点を当てています。
【デジタルオフィスの整備】
従来のオフィス環境をデジタル化することで、業務効率の向上と情報共有の促進を図ります。これにより、職員間の情報伝達が円滑化され、意思決定プロセスが迅速化されることが期待されています。また、デジタルオフィスの整備により、業務の柔軟性と可搬性が向上し、リモートワークや災害時の対応力が強化されます。
【企業データベースの構築】
支援先などの企業情報を包括的に管理するデータベースの構築に取り組んでいます。このデータベースの構築により、財団は効果的な企業支援策の立案と実施を支援し、地域経済の活性化に貢献します。
【業務のデジタル化】
財団は、業務プロセスのデジタル化により、作業効率の向上とヒューマンエラーの削減を目指しています。具体的には、書類の電子化、ワークフローの自動化、クラウドベースの業務システムの導入など、様々な取り組みを行うことにより、財団は業務の効率化だけでなく、データの正確性とセキュリティの向上も実現し、サービス提供の品質向上を図ります。
これらの取り組みは、財団が目指す「Softopia Update」の実現に向けた重要なステップとして位置付けています。
デジタル化を推進するにあたり、まずは財団職員へのアンケート調査を行いました。職員がデジタル化に対して、どのような意見があるのかなど、率直な意見から課題を抽出するのが目的です。
アンケートの結果、昔からのルールや手続きが作業を複雑にし、便利なツールや企業支援のノウハウが部署ごとに分散しています。紙だから検索に時間がかかり、データ化されていない状況では、情報の把握にも手間がかかり、効率的な業務改善や意思決定が難しくなっている。また、作業時間がかかることで業務ロスが生じ、紙でしか承認やワークフローができないことが問題だということが明らかになりました。
このアンケート結果をもとに課題を抽出し、各プロジェクトで課題解決に向けて取り組みました。
アンケート調査を通じて明らかになった課題を受け、企業データベース、デジタルオフィス、業務のデジタル化(ワークフロー)のそれぞれで改善に注力しました。各プロジェクトが今年度取り組んできた実施内容については以下になります。
①デジタルオフィス
②企業データベース
③業務のデジタル化(ワークフロー)
①デジタルオフィスの取り組み
オフィス環境の改善に向け、以下の取り組みを実施しました。
①ネットワーク環境整備・無線化:オンライン会議の増加に備え、事務所内のネットワーク環境を整備・無線化しました。
②会議用大型ディスプレイ導入:効率的な会議の実現を目指し、会議用の大型ディスプレイを導入しました。
③ペーパーレス化の推進:PDFを編集可能とするソフトウェアを導入し、会議のペーパーレス化を実現しました。
また、今後は以下の取り組みを予定しています。
①柔軟な働き方の環境整備:電話のクラウド化(クラウドPBX)やスケジュールのクラウド化など、BCP対策はもちろん、職員が柔軟に働ける環境を整備することを目指します。
②セキュリティ対策の強化:セキュリティ対策のためのソフトウェアの導入や規程の見直しを行い、安全な業務環境を整備します。
【担当者の感想】
個人的な思いとしては、導入をもっとスピーディーに進めたかったのですが、通常業務との並行でシステムの選定や導入後の初期設定に時間がかかりました。特にシステム導入後の職員に対しての操作説明やトラブル対応などのフォローにも時間が必要だと感じました。来年度はクラウドPBXの本格導入やセキュリティ対策の強化など、さらなる改善を目指します。
②企業データベースの取り組み
財団の業務で発生する顧客との接点を効率化するため、「支援先等企業データ活用環境」を構築しました。企業支援の部署が実証を行い、以下の取り組みを行いました。
①データ登録のルール設定:名寄せのルールやデータの登録作業を整理し、データベースへの登録をスムーズに行えるようにしました。
②二重作業の撤廃と効率化:二重作業の撤廃やデータ入力の効率化を行い、報告書の作成効率を向上させる取り組みを行いました。
③kintoneを使用したアプリの構築:国産ノーコードプラットフォームである「kintone」を使用して、実際の業務フローに基づいたアプリを開発しました。アジャイル開発手法を採用し、職員のフィードバックを反映させながら、システムをブラッシュアップしました。
「kintone」を選んだ理由としては、財団のスタッフが支援先でも閲覧しやすく、システムのメンテナンスや新機能の追加も簡単であること。また、費用面や要求に合わせて自由にカスタマイズできるため、将来的にも使いやすいというところが選定のポイントでした。
④開発終了後の説明会・研修:開発企業によるシステム使用方法やkintoneの開発手法に関する説明会・研修を開催し、財団職員全体でシステムの運用に備えました。
※課題の詳細については、前回記事「vol.3:企業データベース導入の課題と対策 ~課題編~」をご覧ください。
【担当者の感想】
開発を進める中で、通常の開発手法よりもアジャイル開発を取り入れることで、実際の業務に即した形でシステムを実装することができました。また、開発終了後の説明会や研修を通じて、財団職員全体がシステムを運用できる準備を整えることができました。
③業務のデジタル化(ワークフロー)の取り組み
デジタル化に伴う仕事の仕方やルールの見直しを目指し、まずは決裁のデジタル化を実施するため、ワークフローシステムの導入検討を行いました。以下の取り組みを行いました。
①システムの選定:財団業務における決裁(起案文書)を対象に、各部署の運用や既存システムとの連携を考慮し、使い勝手、拡張性、システム間連携、ランニングコストなどを考慮して、ワークフローシステムを決定しました。
②機能の選択とシステム全体の流れの意識:ワークフローシステムにはさまざまな機能がありますが、業務の流れや必要な機能を意識し、必要な機能の取捨選択を行いました。
③意見収集と判断基準の確立:全員が納得するデジタル化を目指し、多くの人の意見を聞きながら、100点満点のシステムはないと割り切り、自分なりの判断軸を持ってシステムを決定することを重視しました。
【担当者の感想】
検討期間中、システムを絞るための調査やトライアル期間などに時間がかかりすぎたことを反省しています。しかし、全員が納得するデジタル化を進めるため、多くの人の意見を聞いたりしました。次年度以降は、選定したワークフローシステムを使った具体的な運用を考えるとともに、規程の整備に着手していきます。
【2027年 財団デジタル化あるべき姿】
財団は、2027年の目標達成に向けて、来年度以降は現行の取り組みをさらに強化し、新たな展開を加えることで、デジタル化推進の効果を最大化することを目指して取り組んでいきます。
【2027年財団デジタル化によるメリット】
・企業データベースを利用することで、内部での情報共有が迅速化し、適切な支援を提供できるようになる。また、情報の重複入力作業を削減。
・書類のデータ化により、紙文書の場合と比較して保管や検索にかかる時間を短縮。
・決裁のデジタル化により、外出先でも承認が可能になり、決裁時間を短縮。
・ペーパーレス化により、企業との紙によるやり取りが減り、手間と時間を削減。
・テレワークの促進により、職員の柔軟性と効率性が向上。
・セキュリティの向上により、機密情報や個人データの保護が強化され、リスクが軽減。
・クラウドPBXやクラウドスケジュールを活用することで、外出先(支援先など)でも予定の確認や連絡が迅速に行え、次回の支援予定などもスムーズに立てられる。・・・・・など
いかがだったでしょうか。今回はデジタル化プロジェクトのあるべき姿や今年度の取り組み、そして今後の財団デジタル化についてお話ししました。
今年度のデジタル化プロジェクトでは、職員アンケートからの課題を把握し、対策を試行錯誤しながら取り組んできました。
各担当者は、プロジェクトを進めていく中でのポイントや苦労した点を共有させていただき、同じようなプロジェクトに携わる方などにも参考となる情報をお伝えいたしました。
今後も、工夫しながら課題に取り組み、より効果的なデジタル化を推進していきます。